テーマは伝わってきたものの・・・映画『トカレフ』レビュー

ニコラス・ケイジ主演。2014年公開。

個人的にニコラス・ケイジさんは好きな俳優なんですが、彼が出演する映画は大抵酷評されているイメージ(主観)。

で、この映画「トカレフ」も残念ながら多少肩透かし感のある印象でした。

あらすじを大雑把に言うと、

裏稼業を生業としてきたポール・マグワイア(ニコラス・ケイジ)は、現在は足を洗い家族と共に静かに暮らしていた。しかし、ある日外出中に娘が誘拐されたと警察から聞かされる。過去のしがらみが原因か、と犯人を捜すポールだが一向に見つからない。そんな中、娘の遺体が見つかって・・・。

という話。

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序盤は引き込まれるものの・・・

登場人物が少ないから見ててわかりやすいし、結末が気になるんで割と楽しめるんですよ。

でも残念なのは結末(というかオチ)。実はそもそも誘拐なんてされてなくて、家に遊びに来てた娘の友人が家にあった銃(ポールが家に隠していた)で誤って撃ってしまい、それをごまかすために友人は警察に嘘の証言をした、という話。

なんというか、どんでん返し的なものを狙ったと思うんですがちょっと唐突過ぎるんですよ。この娘の友人っていうのは映画の冒頭にちょっと出てきただけで、その後はラストまで出演無し。何の伏線も無いから「うわ~してやられたなあ~」って思えないんですよ。「え?そうなの?」という感じ。

もう少し、実はこの娘の友人が犯人だったというヒントが散りばめられてて、結末を知った後に全てが繋がるみたいな展開なら面白かったと思うんですが、いかんせんヒントがゼロなんですよ。

すごい美人なポールの奥さんとか、犯人探しを手伝ってくれる昔の仲間とか怪しそうな人間は出てくるものの、全然関係無い。過去に関わった裏の人間のボスも出てきてポールの仲間が捕らえられたりするんだけど、何の関係も無い映画の90%ぐらいは娘の誘拐とは何の関係も無いシーン。

とはいえ

この映画って娘の誘拐そのものが本筋ではなく、因果とか償いみたいなことがテーマなんでしょうね。

ポールは過去にマフィアから金を奪っていて、そのマフィアのボスが復讐に来たと思って奮闘するわけです(何の関係も無いけど)。で、上述した通り実は娘の友人の誤射なんだけど、この銃って金を奪ったときにそのマフィアが持っていた銃なんですよ。悪行が自分に返ってくるというか、足を洗ったところで過去の罪が消えるわけではないっていうのは確かに伝わってきたんですが、やっぱりちょっと強引過ぎる気も。

で、最後にはポールも犯人が娘の友人だと気付いて、呼び出した後銃を向けるんですが結局撃たないんですよね。ここ、ポールが悩む描写というか溜めがあるんですけど、どうせ撃たないだろうとしか思ってなかったので茶番にしか見えませんでした(辛辣)。

批判ばかりになっちゃいましたがもちろん良い部分もあるんですよ。

娘の友人(男)が家に遊びに来たときにポールが「お前娘とデートしたいんか?そりゃ娘次第だが運は勇敢な者の味方だ」(意訳)とか言うシーンとか。ポールの過去を考えるとてっきりその男にブチ切れてボッコボコにするのかと思ったんだけど、意外と良い父親なんだな~って思ったり。その分、娘が亡くなったシーンとかは悲しく感じたり。

細かいことを抜きにすれば楽しめる映画だと思います