映画「ミスト」は何を伝えたかったのか ネタバレ有り

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原作小説は未読。

「後味が悪い映画」として紹介されてて詳細が知りたくなったので見た。ちなみに結末も知った上で見ました。

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あらすじ

見てない方のためにあらすじをおおざっぱに説明すると、

ある日息子と共にスーパーにやって来た主人公デヴィットは、突然店の外が白い霧に覆われる。その霧の中にはどうやら得体の知れない怪物がいるらしい。そのままスーパーにいてもいずれ力尽きてしまうため、助けを求めるため同じ場所に居合わせた客達と外に出ようとする。しかし中にはパニックになる者、この世に絶望する者等がおり意見が衝突。どうにか外に出て息子を乗せて車を走らせるが、霧の中でガソリンが尽き万事休す・・・。

という感じ。ちなみにほとんどがスーパーの中のシーン

後味が悪いとは

で、何が後味が悪いと言われているのかというと、映画の最後のシーン。ガソリンが尽き追い詰められた主人公は自分の息子を銃で撃ってしまう(怪物にやられるくらいなら自分の手で、ということらしい)。悲しみと絶望で泣き叫ぶ主人公だが、直後に軍の車両が大量に到着し霧は晴れていく・・・という部分。要するに、あと少し耐えてれば息子を手にかける必要は無かったのに・・・ということ。

このラストシーンを見た感想はこの結末を思いついただけでなんか満足しちゃってない?」ということ。ひねくれてますね。

実際、そこまで追い詰められていたとも思わない。車の中では襲われていなかったし、最後に見た超大型の怪物も襲ってはこなかった。

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↑超大型の怪物。

無謀とはいえ車から出て走っていくという方法を取ることも出来たはず。もちろん、自分がそんな状況だったら車から出て行けるか?というと多分無理なんだけど、映画を見てる感じ「イチかバチか車から出て行けばいいんじゃん」という感想を持ってしまう。

「自分で手をかけざるを得ない」という部分にもっと説得力を持たせてほしかった。映画だから2時間ほどでまとめないといけない、という制約があるのはわかるものの・・・。

何を伝えたかったのか

結局のところ「諦めるな」というそれだけのことなのかもしれない。

個人的にはラストシーンよりも、スーパーの客同士が争うシーンが印象に残った。その中で一番目立っていたのがカーモディさん。

元々かなり変わった人らしく普段は相手にされていないんだけど、この状況ではいわばカルト教祖のような人間になる。「血を求めているのだ」「犠牲が必要だ」などと言って、周りの一部の人間もそれに感化されおかしくなる。

こんな感じに。

で、このカーモディさんは極端すぎる例ではあるんだけど、こういうことって現実的にもあるなと。実際に生活してると意見の合わない人やおかしなことを言う人は必ずいて、そういうときにただ否定しても上手くいかないという。上手いこと付き合っていかないといけないわけで、そういう考え方の違う人間の許容、付き合い方みたいなものもテーマなのかと個人的には感じた(カーモディさんに関しては上手く付き合っていくとかは無理なんだけど)。

映画序盤で「家に子供を置いてきたから私は家に戻る。だれか送ってくれ。」という女性がいて、まわりの人間はそれは無謀すぎると拒否。結局一人で外に出て行くもののしばらく音沙汰なし。ダメだったんだろうなと思ってたら最後の最後で子供と共に軍の車両に乗っている(なぜ女性が無事だったのかは不明)。

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主人公を見つめる女性。

結果論だけど、この人に付いていけば主人公も息子も無事だった可能性はあるわけで。あの状況で外に出る判断は難しいとはいえ女性の意見もはなから否定せず聞いておけばなあと。

ラストシーンが話題になりがちだけど、結構深い映画という印象。

ちなみに

この映画は何回か見ていて、映画だしSFモノにとやかく言うのは野暮とはいえ気になるところもある。

・なぜそもそも怪物は人間を襲うのか?

・なぜ一人で外に出た女性は無事だったのか?

・なぜ大型の怪物はスーパーの窓を破ってこないのか?

などなど。全て明かされる必要は無いし、説明が無いほうが良いことも有るのはわかるものの、これらが全て別の世界の生き物だからよくわからないというのも個人的にあまり面白くない(ちなみにこの怪物は「異次元を観察する」という軍の「アローヘッド計画」が暴走したせいで出現)。

 

とはいえ見てない人にはぜひおすすめしたい映画。時間の無駄だったとは思わないはず