
麻薬カルテルとメキシコの自警団との闘いを描いたドキュメンタリー映画。
最初から最後まで緊張感がすごい。見終わった後もしばらく興奮が収まらなかった作品。
ちょっと言葉に出来ないほどの衝撃を感じた。
映画の流れをを大雑把に書くと、
麻薬カルテルに暴力と恐怖で支配された街を解放しようとする自警団とそのリーダー、ミレレス医師をカメラは追う。当初は自警団の活動も上手くいくものの、メキシコ政府からの介入や住民からの反発も強くなり活動は制限される。そんな中ミレレス医師を乗せた飛行機が墜落(事故か事件かは不明らしい)。奇跡的に一命を取り留めたものの、もはや自警団はミレレス医師一人の手に追える状況ではなくなっていた・・・。
という感じ。
ドキュメンタリーなので普通の映画みたいにストーリーがあったりエンディングがあるわけではないんだけど。
この映画を見るまではこういう自警団って住民から喜ばれるものとばかり思っていたんだけど、現実ではそうではないみたい。歓迎してくれる人も確かにいるんだけど、自警団って結局は違法に武器所持をしてるわけで、そういう人にうろついてほしくないってのも本音らしい。

でもそもそもの話、メキシコ政府が対処してくれない(=法律じゃ守ってくれない)から自警団を発足しているわけですよ。違法行為は当然ダメなんだけど、何もしなければ遅かれ早かれ命は無いという状態だからこそ発起したわけで。そういう部分のジレンマとか悔しさみたいなものがリーダーのミレレス医師からも伝わってくるんですよね。
で、メキシコ政府も最初は自警団に対して武装解除するよう迫るんだけど、それでは効果が無いため手段を変える。「自警団を警察組織として認める。だから武装解除する必要も無い。今後は政府の指示の下治安を守ってほしい」と言ってくるわけです。
ここすごい怖くないですか?リアリティがあるというか、まあドキュメンタリーなんでリアルそのものなんですけどすごい怖いんですよ。良い人そうな笑顔でカメラに写る警察長官とかも。
結局のところ自警団のほとんどは政府の指揮下に入る(もはや自警団ではなくただの警察)し、自警団を快く思わない人間が「自警団に潜り込んで悪事を働き自警団の信頼を地に落とす工作」をしたりして実質的に自警団は壊滅。
その後リーダー・ミレレス医師は武器の不法所持で逮捕され映画は終わる。

青臭いことを言うようだけど、正しさってなんなんでしょうね。ミレレス医師は、政府の指揮下に入ったら「何もしてくれない警察」と同じになってしまうからと、絶対に政府の指揮下に入ろうとはしなかったんですよ。でもそのままでは違法行為なのは間違いないわけで。一体どうすればよかったんだろうかと考えてしまう。
ただ、彼らはどうすればいいのかなんて迷っている時間も無かったんですよね。そう考えると、彼らの行動の是非を安全な国にいる私が判断すること自体間違っているんじゃないかと感じてしまう。