デル・トロ無双 映画『ボーダーライン』レビュー

2016年公開。

色々言いたいことはあるものの、一番はアレハンドロ(演:ベニチオ・デル・トロ)が強すぎじゃない?という感想。もう無双

ネタバレ有りのあらすじを。

FBIのレジー(演:エミリー・ブラント)は、突然上層部に呼ばれCIAの作戦に加わることになる。この作戦は簡単に言えばメキシコの麻薬カルテルを潰すこと。舞台はメキシコとの国境とメキシコ国内。なぜ自分が選ばれたのか?と疑問に思うレジーだが、CIAはアメリカ国内での活動を禁じられているため形式上FBIの人間が必要なだけだった。利用されたことに憤慨するレジーだが作戦は最後まで遂げようとする。そんな中、同じ作戦に加わっていたアレハンドロが実はコロンビアの麻薬カルテル(メキシコの麻薬カルテルの競合組織)に雇われ、メキシコの麻薬カルテルを壊滅させる殺し屋だったことが判明する・・・。

という感じ。このあらすじを見ても後半メチャクチャなのはわかるんだけど。

前半は面白いんですよ。まあよくあるといえばよくある麻薬カルテルとアメリカの抗争なんだけど、そこに住む人々の凄惨さは伝わってくる。エミリーブラントが美人すぎるとかデル・トロがイケメンすぎるとは思うものの、没入間はある。

で、この前半部分を見てるとこの映画はかなりリアリティの有る映画なんだなと認識するんですよね。この認識と後半の展開がちょっと違和感が有る。

後半部分は、アレハンドロが単身麻薬カルテルのボスの屋敷に潜入。たった一人で全ての用心棒を倒し、ボスも倒す。そして映画は終了(厳密に言うとまだ少し続くんだけど)。

これどうなんでしょうか。実際に見てもらうとわかるんですが、アレハンドロが強すぎるんですよ。ほぼランボー。そもそも作戦の意味あった?全部一人でアレハンドロがやればよかったんじゃない?と思っちゃう。

一応アメリカとしても、手に負えないほど規模が大きくなったメキシコのカルテルを潰したいって思惑も合致してアレハンドロと協力してる、というストーリー自体は納得できるんだけど、作戦が無茶。そもそも作戦と言っても、蓋を開けてみると違法移民の通り道のトンネルを通るだけというもの。その後CIAは特に何もせずアレハンドロ任せ。

前半のリアリティを期待して見てると呆気にとられる。そんな映画。

とはいえ、斜に構えて見なければ普通に面白いとは思う。バーで出会った警官が実はカルテルとの繋がりがあってレジーが窮地に陥ったり、アレハンドロは過去に奥さんや子供をカルテルに殺されて恨んでいるといったディティールもいい。

残酷な描写は多いものの、緊張感の有る映画を見たいとか、渋すぎるデル・トロが活躍するところを見たいという人にはオススメ。