残酷な描写が無くとも悲惨さは伝えられる 映画「イミテーション・ゲーム」を見て

2014年公開。正確には「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」。

この映画、以前から聞いたことはあったものの中々食指が伸びなかった作品。なんか難しそうだなーという勝手なイメージを持っていた。なので当初は軽く流し見しようと思ってたんだけど、序盤からあまりに引き込まれたので全力で見ました。

もう、本当に悲しい映画。

あらすじを大雑把に言うと、

エニグマと呼ばれる暗号装置の解読に、数学の天才アラン・チューリング(と他数人)が挑む。当然簡単に行くはずもなく、途中スパイ容疑がかかったり上手くいかないことに業を煮やした上層部にクビにされかけたりするが、どうにか暗号解読装置の開発に成功。しかし、すぐに行動を起こせば敵に暗号が解読されていることを知られてしまうため、救えるはずの命も見逃さなければいけない・・・。

という感じ。実話を元にした話らしい。私は不勉強故にエニグマとかアラン・チューリングさんのことはこの映画を見るまで全く知りませんでした。

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大げさな表現は無いものの

冒頭にも言ったけどこれ悲しい映画なんですよ。天才だから暗号解読出来たぜ!やったぜ、終わり!という映画じゃない。

主人公アランはコミュニケーションを苦手としててチームの中で孤立しちゃうんだけど、ジョーン・クラーク(後の奥さん)のアドバイスでみんなと打ち解けて、解読も上手くいくようになったり・・・。で、そもそもアランは小さい頃、所謂「変わった子」として子供時代いじめられてて、自分が「普通ではないこと」にコンプレックスを持っている。そんなアランに、ジョーンは「私達なりに生きていけばいい、完璧にならなくていい(意訳)」って言うシーンとか(´;ω;`)。もう暗号とか全部ほっぽって2人で生きていけば(´;ω;`)

で、暗号解読に成功した瞬間も盛り上がるんだけどすぐに問題が発覚。敵に解読されたことを知られてはいけないのですぐに行動出来ない。解読メンバーの一人「ピーター」には兄がいて、その兄が攻撃予測地点にいることがわかるんだけど、どうしようもないという・・・。ここに関してはちょっと強引すぎではあるんだけど、戦争中って本当にどうしようもないことがあるなと。

そもそもの話

それに悲しいのは、そもそも戦争が無ければこんな暗号解読も必要なかったってことなんですよ。いやそんなこと言っても仕方ないんだけど。アラン・チューリングさんのおかげで何百万人の命が救えたのは事実だし偉業なんだけど、単にそこでスカッと喜べないのは「そもそも戦争が無ければ・・・」という部分だと思うんですよ。

戦後間もなくアランさんは亡くなっちゃうんだけど、もし戦争が無ければ幸せに暮らしてたのかなとか思っちゃうわけです。

戦争の悲惨さを伝える映画って色々あるんだけど、この映画は「ただ残虐な描写を見せる映画」ではない。そこがすごく引き込まれた部分だし素晴らしい部分だと思う。